支部長挨拶

 平成24年10月10日に一般社団法人日本消化器内視鏡学会北陸支部長を拝命し5年がたちました。

 北陸支部は昭和35年9月25日の「胃カメラ学会第1回北陸地方会」を第1回地方会としており、初代支部長は谷野富有夫金沢大学第1内科教授です。昭和37年からは2代支部長の武内重五郎金沢大学第1内科教授のもと消化器病学会と合同で地方会を開催していました。その後、3代支部長服部 信金沢大学第1内科教授に引き継がれています。4代支部長磨伊正義金沢大学がん研外科教授の時の昭和60年から消化器病学会と分かれ、内視鏡学会単独で地方会を開催しています。平成12年には5代支部長田中三千雄富山大学教授が就任され、地方会がさらに発展しています。平成21年には丹羽寛文先生(当時の理事長)を迎え北陸支部創立50周年を、平成24年11月25日には上西紀夫先生(当時の理事長)を迎え第100回の地方会を迎えることができました。

北陸支部の5年間の主な取り組みを報告します。

① 多施設共同研究の開始
 地方の病院では症例数に限りがあり、ある程度の症例が必要な臨床研究は行うことは困難な状況にあります。そのためにはできる限り多くの施設が症例を持ち寄る多施設共同研究が有用です。多施設共同研究の必要性は認識されていましたが、これまでの支部長はすべて大学教授でしたので多施設共同研究は始めにくい状況にありました。私が支部長になりましたので、各先生の協力を得て始めることができました。大学の垣根を越えて、病院の垣根を越えて委員会を作り活動しています。各病院で内視鏡を積極的に行っている先生方が委員であり、支部長交代後も続ける事ができると考えています。
  1. 1)論文となった多施設共同研究
    【ESD-HP study】
    「早期胃癌ESD後のHelicobacter pylori感染状態別の異時性多発胃癌と内視鏡検査間隔に関する多施設共同研究」
    波佐谷兼慶, 土山寿志, 中西宏佳, 青柳裕之, 酒徳光明, 太田 肇, 蓑内慶次, 松田尚登, 又野 豊, 鷹取 元, 加賀谷尚史, 大野健次, 辻 宏和, 寺崎修一, 卜部 健, 三輪一博, 増永高晴, 吉田尚弘, 米島 學
    日本消化器内視鏡学会誌 58(9), 1404-1412, 2016
  2. 2)学会発表をした多施設共同研究
    【ESD-HP study】
    第87回総会(2014年春) W03-09「早期胃癌ESD後のHelicobacter pylori除菌の成否別にみた内視鏡検査間隔に関する検討:北陸支部多施設共同研究」中西宏佳, 北村和哉, 米島 學
    第88回総会(2014JDDW) 内PD9-5「早期胃癌ESD後のHP除菌の成否別にみた異時癌と内視鏡検査間隔に関する多施設共同研究」鷹取 元, 青柳裕之, 稲邑克久
  3. 3)現在進行中の多施設共同研究
    【ESD-FU study】
    2017年12月31日でエントリー終了
    【AI study】
    2016年9月〜2024年3月の研究予定
    北国がん基金を受賞
② 大腸ESDハンズオンセミナー
 内視鏡機器と技術の進歩は目覚ましく、支部全体の内視鏡レベルの向上に力を注ぎたいと考えています。特に、若手の内視鏡医の育成は重要課題であり、ハンズオンセミナーによる技術伝達を始めました。2015年から年に1回、福井大学医学部で大腸ESDハンズオンセミナーを行っています。平松活志先生(福井大学)を中心に、大学や病院の垣根を越えた各先生が講師となって豚の大腸粘膜を実際にESDします。好評で複数回出席される先生もおられます。この取り組みは学会でも発表しています。また、支部主催ではありませんが、2016年から始まったERCP・EUS-FNAハンズオンセミナーにも積極的に関与しています。
  1. 1)学会発表
    第93回総会(2017年春) PD10-3「北陸地区における大腸ESDハンズオンセミナーの検証」平松活志, 米島 學, 中本安成
③ 学術評議員の育成
 北陸支部は会員数が1062名(平成29年12月末日現在)と最も小さい支部ですが、会員  数あたりの支部例会発表数や専門医比率は高く、勤勉で誠実な北陸の人柄を反映していると思われます。しかし、残念なことに学術評議員は数および比率ともに最も少ない支部でした。学術評議員になるためには、学会総会でシンポジウムやワークショップで発表したり座長をする必要があります。支部会員の先生には学術評議員を目指し、総会での積極的な発表をお願いしました。比較的小さな病院の先生には多施設共同研究に積極的に参加してもらい、その内容を学会総会で発表(共同演者を含む)してもらいました。学会総会の座長の支部推薦をたずねられた時には学術評議員を目指す優秀な先生を推薦しました。これらの取り組みにより北陸支部の学術評議員数は平成25年15人、平成26年13人(2名定年)、平成27年23人(10名新任)、平成28年30人(7名新任)、平成29年32人(6名新任、1名社団評議員に、2名定年、1名逝去)と増加の一途をたどっています。会員数に対する学術評議員数は、平成25年は全国平均2.0%、北陸支部1.4%と全国平均をかなり下回っていましたが、平成29年は全国平均2.2%、北陸支部3.0%と逆に評議員が多い支部となっています。
④ 支部例会
 これまで通り春、秋の2回行っており、当番会長の自主性を尊重しています。学会総会の評議員会や支部長会議で決定したことを支部評議員会でこまめに説明するようにしています。学会に推し進めているJED projectは重要と考え、支部評議員会で学会本部担当医師より説明をしてもらいました。研修医・専修医の優秀演題表彰は応募演題数によっては枠を広げて表彰しています。
⑤ 支部セミナー
 これまで支部幹事が当番セミナー会長をしていましたが、内視鏡を積極的に行っている幹事以外の先生にもお願いしています。また、支部セミナーの講師の7割以上が自支部の医師であることより、講師となった北陸支部の先生方のモチベーションはあがっています。
⑥ ENDOSCOPIC FORUMの組織変更
 ENDOSCOPIC FORUM for digestive diseaseは日本消化器内視鏡学会甲信越・北陸地方会誌であり、その丁寧な査読には定評があります。しかしながら明文化された運営規定がない状態でした。赤松泰次先生(当時の甲信越支部長)と相談し、運営規定や会計監査規定を制定しました。
⑦ 市民公開講座
 学会が社団法人に移行したこともあり、市民公開講座を開催しました。消化器病学会との兼ね合いもあり、今後どのように行うか検討中です。
⑧ 女性医師参画
 北陸支部の会員のうち女性の割合は9.8%と決して少なくはありませんが、専門医は男性597人、女性44人、指導医は男性255人、女性9人、学術評議員は男性32人、女性0人です。学会中の託児所開設を含めて、いかにして女性に参画してもらえるのか本部で検討が始まったところです。残念ながら北陸支部では未だ手つかずの状態です。消化器病学会北陸支部とも連携し検討していきたいと考えています。

今後とも、支部の運営に関して皆様のご意見とご助力をお願いいたします。

平成30年2月
一般社団法人日本消化器内視鏡学会 北陸支部
支部長 米島 學